介護職の方の中には腰痛を抱えながら、がんばっている方が多いのではないでしょうか。
実際私の周りにも腰の痛みを我慢しながら、介護の仕事をしている友達はたくさんいます。
また腰痛を我慢し続けて無理をした結果、普通に歩くこともきつくなり仕事ができなくなってしまった人もいます。
介護職には腰痛がつきものというイメージですが、腰痛をできるだけ防ぐ方法はあります。
腰の痛みを少しでも和らげ、気にせずに仕事へ取り組むことができれば仕事の効率UPにも繋がります。
介護職で腰痛を我慢しながらがんばっている方へ、腰痛の対処方法や予防方法についてお伝えします。
介護職の腰痛に役立つ!腰痛の原因と対処方法
介護職の方に腰痛が多いのには、それなりの原因が色々とあります。
その原因と対処方法を知ることで、痛みを少しでも軽減できるかと思います。
腰痛の原因
介護職の方の腰痛はどのような場面で、どのような体勢が原因となっているのでしょうか。
それには以下の3点が考えられます。それぞれについて見ていきましょう。
・利用者様を移乗などで抱える
・おむつ交換などで前かがみや中腰の姿勢
・1日中立ちっぱなし
利用者様を移乗などで抱える・支える
利用者様をベッドから車いすへ・車いすからベッドへなどの移乗では、抱えたり支えたりといった動作をします。
抱える場合は持ち上げる際、腰に負担がかかってしまいます。

また支える際には無理な体勢のまま力を入れ利用者様を支えることで、腰に負担がかかることとなります。
私がいた施設では、大柄な利用者様は主に男性職員が対応するようにしていました。
しかし男性でも体勢によっては腰を痛める職員もいたので注意が必要ですよね。
おむつ交換などで前かがみや中腰の姿勢
おむつ交換や入浴介助では、前かがみや中腰の他に腰をひねる動作をすることで腰を痛めてしまいます。
施設で働いている介護職の方たちは、多くの利用者様のおむつ交換や入浴介助をこなさなければいけません。
そのため長時間同じ姿勢で作業をすることや、安定していない体勢のままで腰をひねってしまうことが痛みの原因となってしまいます。
特に夜勤ではおむつ交換や体位交換をこなすことが多くなります。
夜勤時は日勤と違い対応する職員も限られています。
利用者様に転倒の危険などがあれば、無理な姿勢のままとっさに対応することもあり実際に腰を痛める職員もいました。
1日中立ちっぱなし
介護職は1日中立ちっぱなしの業務がほとんどです。
長時間にわたり立ちっぱなしでいることで、血流が悪くなり腰から足にかけての筋肉が張ってしまい、硬くなることから痛みが起こります。
骨盤の正常な位置は少し前に傾いています。
それが長時間立ちっぱなしでいると、腰や太もも前部の筋肉が張り骨盤の位置は更に前に傾きます。
逆に太もも裏側の筋肉が張ると、骨盤の位置は後ろに傾いてしまいます。
この骨盤のズレが腰痛の原因にもなります。

以前から私は持病で椎間板ヘルニアを持っており、できるだけ腰への負担をかけないよう気をつけていますが、立ちっぱなしの仕事で腰から足にかけての痛みは毎日ありました。
立ちっぱなしでの仕事は介護職には避けられないことですね。
腰痛の対処方法
腰痛になってしまった時に、少しでも痛みを和らげるための対処方法があります。
それには湿布を貼ることや整体に行くなどの他に、手軽に自分で出来る方法として以下の2点が上げられます。
・腰を冷やさないで温める
・コルセットや骨盤ベルトを使う
腰を冷やさないようにし温める
前述のとおり、立ちっぱなしからくる腰痛は血流が悪くなることが原因と思われます。
腰を出来るだけ冷やさないように心がけ、カイロを貼ったり腹巻きをするなどし温めるようにしましょう。
温めることで痛みが少し軽減できるかと思います。
特に冬は痛みが増すのでカイロは必須アイテムです。
使っているというだけで気持ち的にも楽になっていたように思います。
骨盤ベルトを装着する
骨盤のズレからくる腰痛は、骨盤ベルトを装着すると良いでしょう。
装着することで骨盤が締められ安定します。
骨盤ベルトの補助があるおかげで、腰への負担が軽くなり随分楽になります。
私も何度が使用したことがありますが骨盤ベルトにより、腰が支えられ安定するためかなり楽になります。
着ぶくれすることが気になる点ではありましたが、着けていることで安心感がありました。
腰痛を防ぎ介助を楽にする方法
腰痛を防ぎ利用者様への介助を出来るだけ楽にするためには、色々な方法やコツがあります。
それには以下の4点があります。
・環境の整備
・福祉用具の利用
・介助姿勢の見直し
・本人で出来ることは見守る
環境の整備
ベッドや車いすの周りに荷物を置いていたりすると、スペースが狭くなり介助する際に無理な体勢となってしまいます。
体位交換などをしやすくするためにも、ベッドの左右は出来るだけスペースを空けた状態にしておきましょう。

またベッドが低い位置にあると、姿勢が低くなるため前かがみでの動作が多くなります。
ベッドの高さの調整を忘れないようにしましょう。
実際に研修では何かを始める際最初にベッドの高さ調整から始めます。
先ずは環境整備からということを頭に入れておきましょう。
福祉用具の利用
利用者様の移乗では直接抱えずに、スライディングボードやスライディングシートといった福祉用具の利用をすることも良いでしょう。
【スライディングボード】
引用元:https://www.sakaimed.co.jp/bath/bathing-others/boad/
スライディングボードはベッドからストレッチャーへなどの移乗の際に、利用者様の下にスライディングボードを入れ込んで滑らせることで移乗が出来ます。
【スライディングシート】
[横の移動]身体を手前に引いたり、奥へ押したりする方法
![]()
[縦の移動]身体を頭側に押したり、脚側に引いたりする方法
![]()
引用元:https://waku2chokkan.com/i/sst01-kaijorakurakuS
スライディングシートは体位交換や車いすへの移乗・更衣など幅広い活用が出来ます。
サイズ・カラー・素材も様々で、小さく折りたたんでポケットに入れておくことが可能なものもありとても便利です。
このような福祉用具を利用することで、2人体制でなければ出来なかった動作が1人で可能な場合もあり、最小限の力で済むことから腰を痛めることもありません。
私がいた施設ではまだ取り入れていませんでしたが、研修ではこのような福祉用具を使用していました。
講師の方の施設では実際に使用しているそうで、福祉用具を使用することで職員の負担がかなり減り、以前は男性職員にその都度お願いしていたことも女性職員だけで可能になったそうです。
介助姿勢の見直し
基本的に介助をする際は重心を低くしましょう。
足は肩幅位に広げたら膝を曲げ重心を垂直に落とすことで、身体が安定し腰への負担を軽減できます。
腰を使わないように意識し、常に垂直の姿勢を保った状態で介助するようにしましょう。
私も意識するようにはしていましたが、ついいつもの癖が出てしまい腰を痛めることがありました。
骨盤ベルトなどを着けることで意識するようになり、姿勢の見直しと併用することが良いかもしれません。

抱えるなどの持ち上げるような動作が必要な時は、縦に上げるのではなく利用者様の身体を平行移動するようにしましょう。
スライドするような感じで動かし、その際は利用者様に近づき安定感を保つことで、出来るだけ少ない力で移動させることが出来ます。
また重い荷物でも大きな箱より小さな箱の方が楽に動かせることと同じで、利用者様の身体を出来るだけ小さくしてもらうことで楽な介助ができます。
腕は抱え込むようにし膝を曲げることが可能な利用者様には、そのような体勢にしてもらうと良いでしょう。
本人で出来ることは見守る
介護は基本的に全てを職員がやってしまうのではなく、利用者様の残存機能を活かし出来ることは本人にしてもらうようにしましょう。
そうすることで職員の負担が減ると同時に、利用者様の残存機能低下を防ぐことにもなります。
利用者様の中には構ってほしいという気持ちから、職員にお願いする方がいました。
そのような場合は「忙しいから」などと断らず「ここまでやってみましょう」と出来る範囲までやってもらうよう促していました。
すると不思議なことに自分で出来てしまうものです。
出来る機能も本人が使わなければどんどん低下していき、出来ることが少なくなってしまいます。
衣服の着脱は出来る限り本人にしてもらい出来ない部分だけを介助する・歩ける利用者様には、転倒防止に気をつけながら横で寄り添う程度の介助を心がけましょう。
まとめ
・腰痛の原因となることを把握しておきましょう
・楽な介助方法や福祉用具を上手に利用・活用しましょう
・腰痛予防によって負担やリスクが軽減され効率UPになります
介護職の方は腰痛持ちの方が多いかと思いますが、痛みを我慢しながら日々の業務をこなすのは大変です。
腰痛の原因となることを把握し避けれることは出来るだけ避け、腰に痛みがある時は早めに対処するようにしましょう。
介助には極力、腰を使わずに楽な介助方法が色々あります。
自分や利用者様の状態に合った方法を利用・活用していきましょう。
腰に負担をかけずに介助する方法を知っておくことで、業務や利用者様の対応に集中することができ効率UPにも繋がります。
そして職員・利用者様のお互いにとっても負担やリスクが軽減されることに繋がります。
腰痛から解放され、笑顔で利用者様に対応できる介護を目指しましょう。









